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見える違い・見えない違い

 

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  "一生使える楽器"と思って買った楽器のメーカーが購入直後にモデルチェンジを発表し、カタログにこれ見よがしな改良点が書いてあると損をしたような気分を味合わされる。また、勉強熱心なお客様はどこのメーカーの銀は純度が945だとか云々、だから音色が・・・とか、キーの連結方法がどうだとか、トーンホールの大きさ、角度など本当によくご存じだ。しかし、一般のお客様が入手できる情報は"公開された"情報であるが、その一方隠された違いというものもある。カタログや雑誌のコマーシャルだけでイメージを固定してしまうのは良くない。
  たとえば、あるメーカーは銀の純度を何パーセントなどといっているが、同じスターリングシルバー925でも、国産管、アメリカ管、ドイツ管では組成が違うので音響特性も相当に違う。はっきり言って含有率以上の音の差が出る。意外にも国産代表のM社は昔からヘインズと同じアメリカの銀管を使っている。もちろん音へのこだわりからだ。もっと小さい部分では芯金にステンレスを使うか鋼を使うかでも、さらにはバネの材質まで音に影響する。
  改良点(必ずしも良くなるとは限らないが)を次々に公開して進歩していることをアピールするメーカーと秘密主義のメーカーとある。前者の代表はヤマハで特約店には「内報」という文書が回ってきてその都度改良点を公開している。後者の代表はムラマツで「新タンポシステム」しか一般には公開していないが、ここ数年の変更点は十数カ所ある。改良しているのに口止めされることすらある。海外ではパウエルがかなり秘密主義で知らないうちに結構変化している。
  フルートはまず"良くできた楽器"でなければならない。そしてその良い楽器の中から"好きなフルート"を見つけるべきだと思う。良い楽器を作るには的確な設計、吟味された材料、職人の楽器への理解と工作技術、さらに演奏現場とのコミュニケーションから生まれるたゆまぬイノベーション、変わらぬ理念が必要だ。これらを考えると高級フルートを選択できるメーカーはある程度絞られてしまうが、これが現実だ。そしてその中から直感で好きになれるフルートを選べば間違いないと思う。

2006.01.16