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 真空管と言えばすでに過去のもので現在の集積回路の前身、トランジスターのさらに前、1960年代までのものであり、わたしが子供の頃でもすでに過去のものになっていました。しかし、ことオーディオの世界では真空管はハイエンドオーディオの世界に生き続けてきました。なぜなら、真空管増幅回路を通した音はスペックとは別次元で、なぜか暖かく人間的であり、空間再現に優れた「音楽性のある音」として出てきます。しかも、真空管の銘柄を替えると音が確実に変化します。
 所詮オーディオで原音再生などを求めてもフルート一本再現することは不可能です。真空管は生の音に近づこうというより、オーディオの音色を楽しむことを与えてくれます。ここでは、心安らぐわが家のオーディオを演出する真空管のコレクションをご紹介します。


(写真をクリックすると大きな写真を見ることができます)


真空管バカの引き出しです。少なくともわたしにとっては貴重なコレクションです。


☆真空管の引き出し☆
現在手持ちの真空管、TU-870(改造)に使う6BM8とAOpenの真空管マザーボードに使う6DJ8のみのコレクション。
ヨーロッパと日本・アメリカでは同じ真空管でも型番が違う。
また、グレードや用途によっても呼称がが違うのである程度知識がないと混乱してしまう。



メインシステムの音源として使っているAOpenのマザーボードに搭載する6DJ8系の真空管です。


TELEFUNKEN : CCa
わかる人に見せたい自慢のコレクションがこれ。ほとんど入手が絶望的なテレフンケンの最高級かつ長寿命管、印刷もベストコンディション、◇マーク、金メッキピンの新品2本だ。eBayでは1本3万円近くの値が付くこともあるが、もちろん格安で手に入れた。音はとにかく非の打ち所がない。バランス、音色、繊細さ、定位感どれをとっても抜群!これを使うと他が聞き劣りしてしまうので特別なとき以外は大事に保存している。

TELEFUNKEN : ECC88
テレフンケンCCaの入手をなかば諦めていたので、ワンランク下のECC88を2本入手した。印刷は消えかかっているが、正真正銘◇マークの新品テレフンケンだ。音はCCaとほとんど違いはない。ほんの少しCCaの方が艶があるような気がするが、よほど厳密に聞かない限り違いはないようだ。やはりテレフンケンの音だ。緻密でハイグレードな音は他を圧倒している。

AMPELEX : ECC88/Bugle Boy (made in Holland)
音楽用の定番ともいわれるアンペレックスのビューグル・ボーイ。古いオランダ製の新品はなかなか手に入らないので状態の良い中古を3本入手。噂に違わず良い音で、繊細さと太さ、豊かな低音を併せ持っている上、何を聞いても楽しくなるポジティブな雰囲気を持った不思議な球だ。現代のものに比べると少年の顔も楽しげだ。

NATIONAL : 6BM8
良くも今までこんなのが残っていたなと感心するようなセロファンの被ったNOSを3個入手。貴重な60年代末の国産品。高度成長時代の日本の優秀さを物語るような球だ。東芝の6BM8とも共通のしっかりした太い音だ。細かい音まで完全にはき出すのと、すべての音が非常に筋肉質で力強い。定位の良さが抜群で、トータルしてとても良い球だと思う。

PHILIPS ECG : JAN6922
軍用の高信頼管、きれいな作りだ。音は繊細で締まりがあるがやや細い感じだ。何となくつまり気味な音で低音が弱い。軽い音楽をBGMで流すのにはよいが、音楽を鑑賞するような気にはなれない。どう考えてもオーディオ向きに作っているとは思えない。非常に安価で入手できる。SOVTEKの対極にある感じの音だ。1個だけ残して売却。

TESLA : ECC88
チェコのテスラ社の低ノイズ管。“超ローノイズ”というが、私の環境では結構ノイズがある。音はソブテックに近い太い音だが、ボヨヨンとした感じは少ない。一つひとつ重めに音が出てくる感じ。ただ、高音域のパルスに若干の歪みがあるようで、ピアノの高音域が濁った感じに聞こえる。価格も安いが音も価格に比例している。1個保有

AMPELEX : ECC88/BugleBoy (made in U.S.A)
60年代のオランダ製とは別物のアメリカRichardson製だが、それなりの雰囲気を出していて十分合格点。常用できる球だ。ラッパを吹く少年の顔が昔のものと比べると、つまらなさそうな表情だ。音はやわらかくスムーズで繊細、低音の量感もあるが、少年の顔と同じく、古いものが持っていた太さと元気はない。現行品なので新品を4本持っている。

SOVTEK : 6922 (売却済)
マザーボード付属の真空管。さすがにトータル金額と供給量をクリアしないといけないので、ロシア管の普及品を付けざるを得ないのは理解できる。音はボワーッとした締まりのない音。システムコンポではよいかもしれないが、我が家のアキュフェーズ&タンノイの組み合わせには全く力不足。非力なところがすべて露呈したので格安で処分。



デスクトップシステムのアンプTU-870(超三極改造)用の6BM8系の真空管です。


TELEFUNKEN : ECL82
マニアの定番、ジーメンスの白箱に入っているが正真正銘◇マークのテレフンケン。60年代の製造で、見るからに美しい精度の高い作りだ。力強さでは東芝に一歩譲るが、さすがはテレフンケンの音だ。すべての面でバランスのとれた音は室内楽や小編成のジャズが得意だ。特にピアノの美しさは群を抜いている。新品2ペア4本を保有している。

MULLARD : ECL82 / 6BM8
貴重な60年代のヴィンテージもの。現代のムラードとは別格のもの。下に書いたが現代管を買ってがっかりした。改造前のシングルの場合はこの球が最高だった。テレフンケンとはまた違ってすべての音が熱く生き生きとし、数値データとは別次元の音楽の楽しみを伝えてくれる。この球で聞くアート・ペッパーのサックスは抜群だ。新品だが1ペアしかないので大切にしたい。

SIEMENS : 6BM8
ドイツの大御所ジーメンスのこれも貴重な60年代物。どうしようもないくらいまじめな音で、「すべての音をきちんと出しています」といった感じだ。若干硬質だが細い感じはしない。東芝より一段としまった感じの低域だ。ジャズは古い録音より新しいデジタルの方が良い。真空管らしからぬとても澄んだ音だ。箱は傷んでいるが新品の1ペアのみ保有。

TOSHIBA : 6BM8
TU-870にはまるとみんな欲しくなる東芝の6BM8だ。私の持っているものは東芝が現在は消滅したラファイエット通信工業というところへ納入していたもので、基本的にはHi-Fiのものと同じだ。几帳面だが力強い音質で、シングルでも良かったが超三極改造との相性は抜群だ。現在の標準使用管でとても満足している。新品を5ペア10本も保有しているので安心。

SVETLANA : 6BM8 (売却済)
音楽用として人気のあるロシアの真空管だが、現在はスヴェトラーナの工場では作られていない。市場に出ているのはほとんどが他社のOEMだ。持っていた2ペアは本家工場のもので、今頃になって貴重になってきたから持っていても良かったと後悔している。音は線が太くとてもクリーミーだが、個人的には繊細さが足りなかったので不満になり、売り払ってしまった。

SOVTEK : 6BM8 (売却済)
TU-870のキットに最初から付いてきた真空管。私の印象は「粗太垢」(ソブテックと読んでくれ)。高域が粗く、音は必要以上に太く、音の周りに垢がついて出てくる感じ。真空管らしくやわらかい音と言えば言えなくもないが、クリアーな音が好みの私には全部の音がだぶついた感じに聞こえてしまう。あっという間に売却済み、使用時間は3時間ほど。

MULLARD : ECL82 /6BM8 現代管 (売却済)
改造前のTU-870では60年代のムラードの音に惚れ込んで、現在でも入手が比較的可能な現行のイギリス管を購入したが、音は全く別物だった。線が細くノイジーな感じでしばらくエージングすると変わるかもしれないと思ったがだめだった。その後、超三極に改造したら全く相性が悪くなったので売却。ムラードというだけでは買ってはいけないことを学んだ。