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替え指(連載4)あかんべーBb

 

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私は中学2年生から吹奏楽部でフルートをはじめた。
私の通った中学校の吹奏楽部は実に貧相でレベルの低いバンドだった。なぜかトイレの隣に練習室があり、最初は臭くてしょうがなかったが、フルートの腕が上がるに従って臭いが感じなくなった。恐ろしいことである。

さて、そんな学校だから教則本や運指表など無論無い。自称「天才」の先輩からジプシーよろしく伝統を教え込まれた。
先輩に、「フルートの最高音はどこまででると?」と訊ねたら「上のソまでくさ」と教わった。(後にさらにそのオクターブ近く上まで可能だなんて知る由もなかった)しかし、当時から好奇心の強かった私は限界のソ以上を何とか出してみたいと思い、でたらめな運指で息を強く吹き込み、音を探したものだった。そのときに作ったいくつかの指は今でも使っている。なんとそのうちの一つは、後年、ランパルも使っているのを演奏会で見て感動したものだった。結局上のシまでたどり着いたのだった。

前置きが長くなったが、うわずることの多い高音域だが、高いBbは例外的に低くなりやすい。
カルメンの間奏曲でミーファソシソファミのシでデレッと低くなるとオエッとくる。しかし結構気にしないで演奏している人にお目にかかるが気持ち悪くないのだろうか?プロコフィエフのソナタの第1楽章の最後の部分やユーのファンタジーの最後の音、これらが低くなってどうする!何とかしなければ・・・
フランクのソナタの3楽章、10小節目に至っては普通の指でこのニュアンスを出すのは不可能だ。ランパルでさえ私の運指を使っている。(^_^;

まずは正しい運指の確認からはじめましょう。
クリニックやバンドに教えにいくと間違った運指をしている場合が多々あります。低いBbと同じく、右の小指や左の人差し指を押さえたままにしている人がいますが、これらはどちらも必ずはなさなければ少しずつ低くなってしまいます。

さて、1つ目の指です。リングキーの楽器をお持ちの方は右の人差し指はリングだけを押さえてみてください。これでずいぶん上がります。マクサンス・ラリューは器用に人差し指だけでリングとトリルキーの両方を押さえていました。彼はカルメンの間奏曲をこの運指で吹いています。

2つ目は左のトリルキーの代わりに右側のトリルキーを用います。これだけでは高くなりすぎるので、あえて右の小指を押さえて調整しています。結構頻繁に使っていて、たとえばユーのファンタジーの最後の部分はこれで吹いています。

3つ目は中学生のときに発見した運指です。ちょっと複雑ですが、ピアニシモでとても柔らかく吹くことができます。
左手は人差し指、親指はブリチアルディキー、薬指を押さえます。右手は人差し指で左のトリルキーを押さえ、薬指を押さえます。
前述のフランクのソナタの3楽章では絶大な効果があります。私とランパルはこの指で演奏しています。(ランパルが私と同じ指を使っているのを見たとき、はさすがに感動しましたねぇ。ひょっとして俺って天才かな?、なんてテンションが高まりました)

今回からへたくそな手書きですが、運指図を載せることにしました。
文だけではわかりにくいとのメールをいくつもいただきましたので。
なかには「普及させたかったら図を入れるのが当たり前だ」なんて大勘違いのメールもいただきましたが・・・(苦笑)

そう思ったのですが、なんとスキャナの調子が悪くて・・・(ToT)
今しばらくお待ちください。

1999.11.10