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The Straubinger Pad

 

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ここに紹介する文はストロビンガー自身の解説の一部です。

Consepts of Straubinger Pads

プロ奏者のための、私の20年以上にわたるフルートリペアの経験から、従来のフェルト・パッドでは、現代の音楽環境やプレーヤーのニーズに、もはや対応できるものではないと、私は申し上げなければならない。

モダン・フルート奏者は、偉大なるテオバルト・ベームの功績の恩恵を受けている。才気あふれる彼の理論と想像力豊かなフルートのデザインは現在もそのまま受け継がれていると言えよう。そして、ベームがデザインしたフルートは、長年にわたってフルート奏者のニーズに応えるため、たゆまざる改善がなされてきた。
しかしながら、現代のフルート奏者は、新しい作品にも挑み、常に高いレベルの技術と芸術的演奏を要求されている。
また、環境的には、演奏する際に、エアコンによる乾燥度、ホールの空気の流れも計算に入れることが必要になっている。たとえば、ある日は冷房のきいたカーネギーホールで演奏し、次の日には標高の高いアスペン・サマーミュージックフェスティバルで野外演奏をせねばならない。急激な気候の変化や標高差は、パッドの息漏れ他、繊細な楽器に、限りないダメージを与える。
パッドの息漏れをカバーするには、強くキーを押さえねばならず、無理が生じ、演奏に影響する。
息漏れを防ぐなどのためのその場限りの調整は、一時的な役割は果たしても、根本的な解決にはならず、現代の演奏環境に耐えられない。演奏の環境や音楽的な要求による現代の諸問題は、現代の最新技術によってのみ達成可能であると私は考える。
私たちは、現代のプレーヤーのために、偉大なるベームがデザインしたモダン・フルートを、さらに完璧な楽器にしようと、70年代から、より安定性の高いフルートパッドの研究を始めた。それは、サイズの安定性、柔軟性(スポンジ状ではなく)と耐久性に優れ、ソフトタッチで閉じることのできるパッドの開発であった。
正確に調整されたパッドとは、「パッドをトーンホールの上に置いたとき、トーンホールに均一にぴったりと接していなければならない」というのが私の持論である。さらには、この状態の永続性が不可欠である。
最初にサポート・ユニットを開発したが、サポート・ユニットのみでは、私の求めていた効果はあまり期待できなかった。研究を重ねた結果、80年代中頃に、今日のストロビンガーパッドシステムにたどり着いた。このシステムの特徴は、安定性があり、材質にも柔軟性があるということである。87年に、開発したシンセティック合成フェルトは、オリジナルのサイズでは入手不可能になったため、クッションを一般的なれるとに変更せざるを得なくなった。
フェルトのクッションをサポーティング・ユニットとともに使用してみたところ、普通のフェルト・パッドを従来のように使う方法よりも改善は見られたが、大きな問題が発生してしまった。それは、フェルトは、温度や湿度の変化によってサイズが微妙に変わるという習性があるため、形状が不安定になることであった。
しかしついtに、形状が湿度や温度の変化によって左右されず、耐久性にも優れる、クッションとして最適な材質が開発されたのである。その際に、80年代半ばに開発し現在も使っているオリジナルのサイズに戻すことができた。
その後、私たちは、絶え間なく究明を続け、カバリングとクッション用の材質を探求した。現代に開発された素材から、古く中性より使われていた素材など、多数の材質を考えた。
NASA、デュポン社、ゴア社、エーメス研究所、宇宙航空工学部等において、権威ある科学者や技術者の意見を参考にし、さまざまな材質を実験した。
スキンについては、ベームのパッドにすでに使われていたフィッシュスキンが、現時点でもカバリング用にはベストであることが実証され、ストロビンガーパッドシステムにも採用している。
私たちは過去の功績を否定するものではない。しかし、私たちが新しく開発したシンセティック合成クッション材は、今までのいかなる材質よりも優れたものである。
ストロビンガー・パッドこそ、技術革新の賜である。現代における諸問題を、現代の最新技術によって解決したのである。これは、「これ以上のパッドはない」と数多くのプレーヤーからの絶賛の評価によって証明されている。

ディビット・ストロビンガー

1999.11.09