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替え指(連載2)もっと響きを

 

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あのスターフルーティストのゴールウェイは、実は中音域のほとんどの音を「良く響く替え指」で演奏している。この秘密も暴露したい。

まず、原則として覚えておいてほしいのは、「中音域の音は、2つ向こうの穴を閉じると響きが増す」ということだ。
もちろん、ベーム式フルートのキーメカニズム上実現できない組合せもあるが、原則はそうだ。

<2オクターブ目のC>
通常の左人差し指に加えて、左薬指と右薬指を押さえ、右小指を放す。
どうだろう、強く吹くと倍音が良く乗った音になるのがわかるだろうか?

<2オクターブ目のCis>
通常の指に、左薬指と右の中指と薬指を押さえて右小指を放す。

<2オクターブ目のD>
C足部管は不可、H足部管はHキーのみを押す。(でもほとんど気休め程度)

<2オクターブ目のEs>
これは上記の原則による方法とは違うが、左の人差し指を閉じて、かわりに右中指を左方向に傾け、トリルキーを僅かに開ける。
いささか無理のある運指ではあるが、へたくそなクラリネットと「エルザの大聖堂への行列」の出だしを演奏するときにはためになる。なぜなら、小さい音で吹くのでクラリネットのピッチがぐーんと上がってしまううえ、2番クラリネットが吹くG音はこの和音の第3音に当たるにも関わらず、楽器の構造上うわずった音に鳴りやすいからだ。
「カルメンの間奏曲」の最初の音に使うこともある。
このトリルキーの穴の位置が、Esにとっての正しい倍音ホールになる。ちゃんとDの時の倍音ホールの隣になっているのが確認できるでしょ。
勘の良いあなたなら、次の音はどこを開けると響きが増すかもうおわかりですね。

<2オクターブ目のE>
これには2つの方法があります。1つは、そうです!普通のEの指に右の薬指でトリルキーを開けてあげる方法です。これで正しい倍音ホールが開きますので、良く響いた安定した音が出ます。Y先生もご推薦ですし、ゴールウェイはほとんどのEでこの指を使っています。
しかし、私はあまり好きな指ではありません。
あまりにも音程が上がりすぎるのと、音色がいかにも「短いフルート」で吹いたような音になってしまいます。
私はニコレ先生も推薦の2番目の方法、例の原則にのっとった方法がよりよい方法だと思っています。つまり、通常のEの指では右の小指はEsキーだけを押さえますが、ここでは隣のCisキーも同時に押さえます。こうすると音程は安定したまま、重厚な響きになるのがおわかりいただけるでしょう。慣れると簡単に2つを同時に押さえることができるようになりますよ。

<2オクターブ目のF>
これは簡単、例の原則を実現するために、右の小指を放すだけです。
(楽器によってはついでに右の小指でCキーを押さえるとさらにパワーアップします。)

<2オクターブ目のFis>
不可、というより、最初から原則通りです。
(但し、楽器によっては右の小指でEsキーの変わりにCisキーを押さえることで響く楽器もあります。)

<2オクターブ目のG,Gis>
不可。
(H足部管の楽器はCキーを押さえるとより響きます。実際に使用することはないでしょうが)

<2オクターブ目のA>
原則にのっとって、左小指と右の薬指を押さえます。
ちなみに、オクターブ下の場合は、右の薬指は押さえません。

<2オクターブ目のB>
通常の指(右手の人差指を押さえた)に加え、右手の薬指を押さえ小指ははなします。
(右手は小指以外全部押さえた方がよい楽器もあります。)

<2オクターブ目のH>
3オクターブのFisの指から右の小指をはずします。

<3オクターブ目のC>
2オクターブ目と同じ

今回の指使いは実用というより参考としてください。
次回からの運指は、ベームフルートの弱点を補完する本当に実用的な運指をご紹介します。
使用するかしないはこれを読まれた方のご自由ですが、決して私が使用するようにお勧めしているわけではありません。
私自身はこれらを使用するのはごくまれです。

1999.08.01