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ラファンとバーカート

 

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頭部管のメーカーとしてラファンとバーカートは今もっとも注目できる。
どちらも抜群のクォリティをもっているが、性格的には正反対と言っていいくらい違う。
同じところで試奏してもらうとやっぱりバーカートは売りにくい。 吹きやすくて美しい、それでいて強弱もインターバルもフレキシブルなのは間違いなくラファンだ。 だから当然のこととして、試奏して音を聞き演奏し易さを試すとラファンを選ぶのは当たり前になってしまう。

が、しかし楽器に求められるものはそれだけではない。
フルートの音を求められるとき(特にオーケストラや吹奏楽ではフルートはフルートの音を出すために存在するのだから)、ラファンが醸し出す音はその要求にピタリと合ったものとなる。しかし、独奏の中で、フルートを超えた表現を求めるとき、たとえばバイオリンやチェロのソノリテを要求するとき、バーカートの音楽性の高さを実感させられる。
時として音楽は、きれいではない音を美しく感じることがある。この点ではラファンよりバーカートの方が饒舌だ。 ある人は「ラファンではディストーションギターの音が出ないんですね」と言ったが的を得た表現だと思う。
どちらも優れた頭部管であることは間違いないがその性格は全く違う。それはこの二人の巨匠の求める音と音楽性に起因しているのだと思う。

私は、この二人は往年の名バイオリニストだったミルシテインとシゲティの違いとよく似ていると思う。

1999.03.29