イメージ

トップページへ- 上のカテゴリへ - ブログ

時代様式の縦と横

 

トップページフルート フルート・エッセイ目次 ≫ 時代様式の縦と横

バッハの音楽は好きだがフルートのソナタは文句無くバッハの代表作だとは言い難いレベルだと思う。
ロ短調のソナタの1楽章の中盤あたりになると、明日のスケジュールを考えたりするし、イ短調の無伴奏ソナタのアルマンドを吹いていると、無伴奏ヴァイオリンパルティータ2番ニ短調のアルマンドをト短調で吹きたくなる。後者の方がよだれが出ないし・・・。
それに比べるとマタイ受難曲やいくつかのカンタータのフルートソロは至福のひとときを与えてくれる。

私はバロック音楽は初級、中級、上級とあると思う。 ドイツバロックが初級、イタリアが中級、上級はフランスだ。 ドイツ・イタリア・フランスと地域別にするのは好きではない。バロック時代に今のような国があったわけではないのだし、ここは様式、趣味の違いと解したい。
ドイツバロックの代表はなんと言ってもバッハだろうが、バッハは曲がいいからどんなに吹いてもある程度は様になって自己満足に落ち込める。その意味ではアマチュア向きだ。装飾も難しくない。
イタリアになるとより即興性がメロディックになるので、絶対音感を持った人は有利になると思う。
なんと言っても難しいのはフランスものだ。ラモーやクープランを一人二人ならともかく、合奏になると、フニャフニャな旋律にキラキラピカッの装飾は、私たちのようなアマチュアではちょっとやっかいだ。 「諸国の人々」も東北人、関東人、関西人、九州人になってしまう。
しかし、ラモーやクープランの曲の中に、ドビュッシーや果てはメシアンまで通じる、俗に言う「エスプリ」が感じられるのはさすがの伝統だと思ってしまう。 やはり最後はフランスバロックを演奏できるようになりたい。

1999.02.05