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リングとカバード

 

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最近のことだが、カバードキーの楽器をリングキーに改造してくれというオーダーがあった。
もちろん、そんなことは不可能だと答えたのだが、そのお客さんは、「自分の知人がムラマツのカバードのSRモデルにリングキーのキーを取り付けてもらって改造したのにあんたの所ではその技術無いのか?」と言ったふうの不満を訴えていた。
ムラマツは絶対そんなオーダーには応じないのでどこかの楽器店が改造したのだろう。
そんな無責任な改造をする楽器店の方がよほど知識がないのだが・・・

そもそも、リングキーの楽器とカバードキーの楽器の違いが穴のあるなしだけだと思ってもらうと困る。トーンホールの高さが同じなら、キーを閉じたときの容積は当然穴のある分だけリングキーの方が大きい。
ちゃんとしたメーカーならば、これらのことを補正するためにそれぞれのトーンホールの位置を決めているわけで、リングキーの楽器にコルクのプラグを入れて吹いてみると、とたんに鳴りが悪くなるのでそのことがよくわかる。
まあ、そうはいうものの、そんなこと考えていないメーカーもあるし、せっかくリングキーの楽器を買ったのにその穴を塞いで吹いている人もたまに見かける。
私はお客様にはリングキーの楽器を勧めているが、買ったお客様から穴を塞ぐプラグを求められてもお断りしている。そんな人は最初からカバードの楽器を求めて欲しい。
正直言ってメーカーや頭部管の違いほど音の差はないし、同じモデルなら穴にプラグを入れたリングキーの楽器よりカバードキーの楽器の方が良い音がするに決まってる。
でもわずかではあっても、私としては同じ価格なら、柔らかいレガートや自分に対する聞こえ方で子供の頃から使っているリングキーの方に軍配を揚げたい。

ちなみにリングのプラグの替わりにピップエレキバンのシールはちょうどいい大きさだ。

1999.04.22